本日は久しぶりにタックルのお話。
お題はタイトルにある通り「スピンキャストリール」についてです
・・・っていわれても、そもそもスピンキャストリールって何?って人がほとんどかと思う。
僕だってもし子供がいなかったら、こんなリールに出会うことすらなかった。
じゃ一体何なのよそれ?って方、まずはその正体をじっくりとご覧下さい。↓

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これが「スピンキャストリール」。
一見すると、レバーブレーキが付いたスピニングリールのような感じだけど、スプールもベールも無いところが明らかにおかしい
しかしこれ、歴としたリールの一種で、なんのことなく実釣で普通に使うことができます。
その証拠がこちら ↓

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前回行った芥川マス釣り場での一コマ。
見事デカマスを釣った息子(小1)の使っているリールに注目して頂きたい
なんと!スピンキャストリールが付いてる

そうなんです。実際に我が息子は、いつもこのリールを使って釣りをしてるんです。
それはなぜか?答えは至極明快
「初心者でもトラブルなく簡単に扱うことができるから」。

もし釣りをしたことない人とかと一緒に釣りに行った時を想像してみてもらいたい。
釣りをするにあたって、どんな人でも最初にブチあたる壁が「キャスト」。
これはスピニングでもベイトでもそうなんだけど、まず「普通に投げる」ということがすごく難しいわけ。

例えばスピニングだとキャスト時の指抜きだったり、ベイトだとサミングだったりというのが初心者には本当に難しくて、特に小さい子供なんか何度説明してもなかなか分かってもらえないでしょ?
「ラインの垂らしはこれぐらいの長さで、ラインローラーを上にしてラインを人差し指で拾って、握ったままロッドを後ろに引いて、投げるときに指を離す。」とか言われてもね、釣りしたことない人からすれば完全に何言ってんだこいつ?状態ですよ

じゃこのスピンキャストリールだとどうか?
いいですか?このリールでの「キャスト方法」ってのをよーくご覧下さい。↓

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① レバーを上に引いてロッドを後ろに振りかぶる

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②  投げる瞬間にレバーを下げる(=離す)
以上です。
たったこれだけで普通にキャストできます(マジデ!?

ちなみにキャスト後の動作もこれまたすごい 
ルアーが着水したらベールを返すとか一切無しで
「ハンドルをそのまま巻くだけ」(笑)

さらに、さらにでっせ!?、スピニングリールに付きもののライントラブルだってほぼ起きないという超絶驚きのリール、それが「スピンキャストリール」なんです

どうですか皆さん、マジでこれちょっと凄くね?
ということで、今回はこのリールを詳しくご紹介しようと思います

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正式名称はダイワの「アンダースピン 80」っていいます。
簡単なスペックはというと
  • ナイロン糸巻量(lb-m):6-95/8-70/10-50 、 付属糸:6lb-95m
  • 自重:250g
  • 巻取り長さ(ハンドル1回転あたり):56cm
  • ギア比:4.3
  • 実売価格:約3000円ちょっと
といった感じ。

3000円ちょっとで買えるところが初心者にも嬉しいところで、気になる自重もそれほど重くなく、糸巻き量も必要十分。思いの外、ごく普通のリールといってもいいのではないかと思います。
構造的なものを見てみると ↓

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リール尻についたこのつまみが「ドラグノブ」。
普通のスピニングリールなら、スプール先端に付いているはずのドラグノブがこんなところに付いてる。
ちなみにドラグ力は「5kg」。これまた意外にも必要十分といったところ。

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そしてこれがクラッチ切り替えレバー。
安価なリールだからといって、ハンドルが一方向にしか回らないといった心配もなし。
ハンドルだって、もちろん左右どちら側にも付け替えることができます

と、ここまでは構造的に何ら欠点らしきものが見当たらない模様。
じゃ何が普通のリールと大きく違うのよ?というとズバリこの部分 ↓

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スプール&ベール周辺。これが明らかに異質。
まずラインが巻いてあるはずの「スプール」がカバーで覆い隠されていて見えない。
さらに、糸を巻き取るのに必要不可欠な「ベール」が存在しない
なんとも謎多き構造なのは確かですね。

では、どうやってラインを巻き取ったり、キャストしたりするのか?
これを詳しく見てみようと思います。
まずはこの周辺の構造から。↓

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赤いカバー(写真上)を外した状態がこちら。
銀色の「タライ」みたいなやつと、糸が巻いてある部分があります。
それともう1つ大事なパーツがこれ ↓

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タライから飛び出ている「ピン」のようなもの。
大まかに言うと、これら3つの部品によってラインを巻き取ることができるんです
スピニングリールの部品と置き換えてみると
  • 銀色の「タライ」みたいな部分=ベール
  • 糸が巻いてある部分=スプール
  • タライから飛び出している「ピン」=ラインローラー
といった具合
その仕組みを簡単に図解するとこうなる。↓

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青色の線が「ライン」、黄色の線が最初に取り外した「赤いカバー」です。
動作原理はというと
  1. ハンドルを回すと「ピン」が飛び出てくる
  2. 〃 を回すと「タライ」の部分がベールのように回転する
  3. 赤いカバーとタライとの狭い隙間を通っている「ライン」がピンに引っかかる
  4. ピンに引っかかったラインをスプールに巻いていく
といった感じ。
ざっくり言うと、タライがベールのようにくるくる回って、そのタライに付いているピンがラインを引っかけて巻き取るってイメージ。
かなり大作りなシステムだけど、非常に合理的でもある
じゃ、キャストするときはどうなるの?ってことなんだけど、これまた実に合理的。↓

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まずポイントとなるのは先程の「ピン」。
これが、レバーを引くと同時にタライの奥へと引っ込むわけ。
となると、ラインが引っかかる部分である「ピン」の存在がなくなる。

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このレバーを引いた状態が、スピニングリールでいうなら
「ベールを開けてラインを指で拾っている状態」。

つまり、このままロッドを振りかぶってラインを指抜きすれば、キャストできるよ!って状態。

ここからは写真を見ながらイメージして欲しいんだけど、この時(=レバーを引いたとき)は、ピンが奥に引っ込むのと同時に、タライの部分が前に動くのね。
で、タライが前に動くと、外側を覆っている赤いカバーにタライが接触することになる。
これによってタライと赤いカバーに「ライン」がギュッと挟まれる → ラインを指で拾っているのと同じ状態になる。
っていう原理。
このままロッドを振りかぶってキャストすると同時に、レバーを離せば ↓

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タライが元の位置に引っ込み、赤いカバーとの隙間ができる。
「この隙間からラインが放出される=キャストできる」という原理
以上を踏まえて、一連の動作をまとめてみると ↓

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① キャストする時はレバーを引く。
 (=ラインを指で拾っている状態)


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② ロッドを振りかぶり、キャストと同時にレバーを離す。
 (=ラインを指抜きした状態)


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③ ルアーが着水したらそのままハンドルを回す。
 (引っ込んでいたピンが飛び出してラインを巻き取る)

文章にするとなんとも難しいんだけど、構造は実にシンプルで合理的だということをお分かり頂けたでしょうか?

この一連の動作のポイントといえば
「レバーを引いて投げる→ハンドルを巻く」だけでOK
この1点に尽きる

それ以外には何もしなくていいわけで、難しい指抜きもベールの開け閉めも一切不要。
これで全てが完結するのだから、釣りの初心者さんはもちろん、初めてキャストする人でも難なく扱うことができる。
それが「スピンキャストリール」なんです
さらにもう1点、ここにも注目してもらいたい。↓

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ラインが放出される際の通り道である「狭い隙間」に注目。
この狭さこそがもう1つのポイントで、狭さ故に「糸ふけ」が発生しにくいわけですよ
糸ふけっていうと、ラインがボワっと出ちゃうやつね。
これがライントラブルの根源であるのは言うまでもないことなんだけど、こいつが構造的に発生しにくいということは、
ライントラブルも少ないということになるわけ。
というか、使った感じでは普通のスピニングより断然トラブルが少ない
扱いやすい上にトラブルも無いとくればもう言うことなし
どんな高価なリールよりも素晴らしいリールといっていい


だったらもう世の中のリールはこれだけでいいじゃん!って思うところなんだけど、やはりメリット相応のデメリットというものがあるわけですよ。
ざっとまとめてみると ↓
  • 飛距離が出ない
  • ナイロンラインしか使えない
  • 多少ウエイトのあるリグでないと使えない
  • 巻き取りパワーがない
こんな感じ。
全て構造上からくるデメリットなんだけど、まず飛距離については普通の
スピニングとは比べものにならないほど飛ばない
そりゃキャストの際、ラインがいろんな部品にあたりながら狭い隙間を抜けていくから当然と言えば当然でもあるけど、せいぜい20mも飛べば御の字といったところ。

さらに、使えるラインもナイロン限定。
張りのないPEだとピンがラインを拾ってくれないし、フロロだと腰がありすぎちゃってトラブルが酷いわさらに飛ばないわでどうしようもない

加えて使うリグもある程度重くないとキャストできない。
ラインの出ていく抵抗よりウエイトがないと、途中でラインが引っかかったような感じになって失速しちゃうわけ。
気持ちよく投げたいなら7g以上、そうでなくても5g以上のルアーウエイトは必要。

そんなわけで、メリットも大きい反面そのデメリットも大きい「スピンキャストリール」だけど、使う人やシチュエーションによっては余りある活躍をしてくれるリールでもあります

ただこのリール、僕が思うにダイワやシマノあたりが真剣に詰めて構造設計すれば、かなりスゴイ物ができそうな気がする
素人の僕から見ても、もうちょっとこの辺がこうだったら・・・みたいなとこがいっぱいあるから、大手メーカーさんが本気で作れば、スピニング・ベイトに続く「第3のリール」というものができるような予感というか可能性を大いに秘めたリールだと思います。

是非とも大手メーカーさんに本気で作ってもらいたいという願いを込めて、本日はおひらきです。
おわり